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第4日。ハワイ島のスケールの大きさを実感する手段の一つに、ヘリコプターライドが考えられる。ハワイ島の造形は、変化に富んでおり、このことは車に乗ったり海に繰り出したりして、ほぼ十分に堪能している。しかし、鳥の目になってしか見ることが出来ないものもあるはずだ。
また、溶岩が噴出している火口や初日に感動した渓谷の奥などは、前々から行きたいと思っていたところだ。というわけで、このツアーには日本にいるときから予約していたのだった。
まきおはヘリに乗るのは生まれて初めてだった。昔、北アルプスの常念小屋という山小屋でバイトをしていたときに、ほら、山での食料とかガスとかってヘリで輸送するわけよ。そいで、たまにヘリが来て食料等を持ってきて、空のボンベとかを持って行ってくれたりするんだけど、そういうときに近くで見たりしたことくらいがヘリに対する印象だった。そのときは、自分は一生ヘリなんどに乗らんだろうし、乗るとしてもとても高いんだろうなと思っていた。
そう、確かにヘリに乗ると高いです。普段ケチケチしているまきおにとって、このことは確かに勇気のある決断だった。しかかもこのことを決断してから、夜になると自分の乗ったヘリから自分が火山の火口に落ちていく夢を何度となく見たものだった。本当に大丈夫なのかなという一抹の不安を隠しきれなかった。
朝の5:30。ハワイのヘリコプター会社「ブルー・ハワイアン・ヘリコプターズ」の会社のバンがキングカメハメハホテルの前に停車した。運転手は若い女の人だった。車はどんどん北上した。ヘリポートは、コナ空港より北のワイコロア付近にある。
毎朝の話だが、東にある高い山々のお陰で日の出がどうもはっきりしない。だんだんと周りが明るくなっていく感じだ。今日は天気がいいらしい。ヘリツアーは朝一番がお勧めだそうだ。天気がよくなかったら飛んでもそれこそ詰まらんよね。
そうそう。ワイコロアっていうのはちょうど亀さんの左手付け根くらいのところと考えればおおかた間違いはないと思う。この場所に近づくにつれて、緊張してきた。何回も言うけどヘリに乗るの初めてだもん。そうこうしているうちに、ヘリポートに到着した。全部で6機のヘリが待機している。中にはもう羽を回しているものもあった。なんでも1台1億位するらしい。
事務所で簡単な手続きを済ませた後、注意事項とかが含まれたビデオを鑑賞。画像を見ながらなんとなく意味を理解した。その後は、グラサンをかけた女性からの説明。ほら、飛行機とかに乗る前に酸素マスクの説明とかするじゃないですか。ま、あれに似たような感じなんだけど、その女の人があまりにも早く話してしまったので、ほとんど聞き取れないまま終わってしまった。
随分テンポのいい人だったから、とても質問できる雰囲気じゃなかったんだ。自分も何をどう聞いたらいいのかよく分からんかったけど、酸素マスクが入った袋を持って(どうやってつけるの?)って表情で一応微笑みながら訴えてみたら、ちゃんと通じた!親切に教えてくれたのである(勿論ボディランゲージ)。
1機には6人乗ることが出来る。密かに同乗者が居ないほうがいいなと思っていたが、しっかり6人いた。おいおいこれじゃ、儲け過ぎやないけとも思った。さらに不本意にも席は後ろ側……。なんでも体重とかを見て判断するらしい。面子の中でどう見ても一番軽そうなのはうちら2人だったからどうやらバランスを考えた配席だったようだ。でも思ったよりヘリの中は広くて、窓が大きくて十分に見渡せそうであった。でも、やっぱり運転手さんの隣が良かったなとまきおは密かにブツクサ思っていた。
ヘリは羽が回り始めると、結構な騒音がする。このために、イヤーマフ(ヘッドホンみたいなやつで、音が入ってこないもの)と取り付ける。それをはめると、音楽とかが聞こえてきて、搭乗の祭の注意事項とかが流れてきた。また、運転手さんの話し声も聞こえてきた。グッモーニング・エヴリワン!けっこうかっこいい人だった。運転手さんの手元を良く見ると、一本の棒を握っていてそれをふにゃふにゃ動かすだけで操作しているように見えて、なかなか難しそうな気がした。
さて、いよいよ離陸である。ものすごいスピードで羽が回り始めた。そして、わずかに機体が動いたかと思った瞬間僕らは既に宙に浮いていた。離陸直後、機体は少し前のめりになる。そこで加速をつけて、一気に空に舞い上がるのである。飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで・・・・・、周って周って周って・まーわーるううう♪っていう感じだろう。10秒くらいでさっきのヘリポートが小さくなった。西側に見える海がまぶしく、すぐ下の溶岩流がいったいどこから流れてきたものなのかがはっきりしてくる。
そう、このときまきおは初めて鳥の目のようになって、大地を眺めていたのだった。最初の目的地であるヴォルケーノに向かいヘリはどんどん進む。ちょうどハワイ島の中央を縦断する形になるものだから、荒々しい地形を目下にする形となる。島の北側は、旧火山が多いから、小さなクレータが侵食もされずに奇麗に残っている姿がみられた。民家や人影はまったく見えない。荒野とはまさにこんな場所を言うのではないだろうか
しかしながら、溶岩が流れてからはかなりの月日が過ぎている。そのためだろう。うっすらと緑の草草が表面をうっすらと覆っていることが確認できた。だんだんと南に移行するに従い、大地の様子に顕著な変化が見え始める。そう、僕らは火山に近づいているのだ。車で行ったときとはまた別な感動である。
機体は、水蒸気が天に向かって舞い上がっている火口へと近づき、その付近で旋回してくれる。写真で見たものよりは小さいけど、確かに真っ赤な溶岩が火口の中に点在していることを確認した。活動している火山をみて感動的だった。でも写真にあるような昔の噴火に比べると随分スケールの小さいものを見て喜んでいるのかもしれないと思い、もっと噴火の激しいときに見てみたいという思いも同時に沸き起こったものだった。
ヘリは次にヒロの町に向かって方向転換をした。その途中で、溶岩に覆われてしまった町の上を通った。色々な場所で道が溶岩にふさがれている。すれすれで免れた民家もあるみたいだったから、きっと飲み込まれた民家もあるんだろうなと思った。ヒロ空港で、着地し10分程度の休憩だ。とくにトイレは行っておいたほうがいい。分かると思うけど、ヘリの中にさすがにトイレのスペースはないからね。
そのあとは、ハワイ島の東海岸をなぞりながら、いよいよ初日に訪れたワイピオ渓谷に向かった。ワイピオ渓谷の展望台からはとても見れない渓谷の奥の奥までヘリは突き進んでくれた。そこには数々の滝の世界があった。ひょっとしたら火山よりも感動したかもしれないと思った。 |
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