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そういう感じで、後ろ髪を引かれる思いで、もときた道をひたすら下ることになる。次の目的地は既に決まっていた。「サウスポイント」と呼ばれているところだ。アメリカ最南端の地である。
しかし、ここでは少し注意しなければならない点があった。国道からサウスポイントに向かう11マイルは、レンタカー会社で走行禁止されている道路だったことだ。せっかく保険に入っているのに、「ここを走ってなにか起きたときは何も保障しませんよ」といわれるのは、幾分そこに行くのを不安がらせる。
しかし,写真等や情報誌から、そのすばらしい光景が伝わってくる。何事も安全側に考えたいと思っているまきおもリスク-ベネフィットの評価がベネフィット側に傾いたといえる。このときはかみさんに、いかにサウスポイントの風景がすばらしいかを説明し、これを理解してもらった。
途中、キラウエアに行くときに通過したナアレフという町のパン屋さんに寄って、パンを買ってから、いざ!レンタカー走行禁止の道路へ侵入する。慎重に運転しようと思った。はじめのうちは、2車線道路で舗装もされているしいい道だった。しかし、そのうち1車線になって、対向車が来ると怖いという感じになってきた。でもたいていの向こうのドライバーは大きく右によってくれて、安心して通ることが出来た。
だんだん民家もなんにも見えなくなってくる。たまにあっても、人が住んでいる様子が無いので少々不気味である。ひたすら草原である。風の音がビュービュー響く。この辺は、風が本当に強いようだ。このためだろうか、行く手に巨大な風車が回っているのが見えてくる。風力発電所のようで、ヴイーンヴィーンと不気味な音をたてて回っている。よく見ると三菱製、こんなところにも。
この先はなんだかますます風が強くなってきた気がする。木をみると、風に押し倒されているような木がある。日本では見たこともない木で、驚いた。それでも、先にぐんぐん進む。だんだん舗装も悪くなってきた。なんだか、不安になるくらいなにもない地の果てを思わせるところだ。
途中道が二手に分かれて右に進み、しばらく進むと終点が見えてきた。そう。ここがアメリカ最南端の地である。目の前は、一面の青い海だった。いったいどこが最南端のポイントなのかよくわからない。碑とかがあってもいいのにと思った。まま、この辺りがそうだろうということで写真をパシャリ。
海側はちょっとした崖になっていて、下を覗くと海の底まで透きとおっている感じだった。なんでも、昔ポリネシア人が始めてハワイに来たときにこの場所に到達したらしい。当時はまだ、目の前のマウナ・ロア山が激しい噴火をしていた頃に違いない。
周りを見渡してみると、地元の人だろうか、釣りをしている人が多い。結構大きな魚も釣れるみたいな感じだった。そっと、足元の砂を拾ってみると、キラウエアのトレイルで拾った緑の石オリビンの粒が混じっている。この場所から東に10kmくらいのところに、グリーンサンドビーチというほとんどオリビンの砂だけで出来たビーチがあるらしい。そこから飛んできたものだろう。黒い石や白、赤に混じったオリビンサンドをサンプリング袋に入れた。
あと、2時間もすれば日も沈むだろう。明らかに昼間の太陽とは、異なる傾きを持っていた。グリーンサンドビーチへは行けそうもない。これはある意味で辛い選択だった。僕は、手に取った砂を握り締めた。また来てやる。
昨日ハワイに寝ないで到着して、今日は朝早くからのロングドライブ。普段の生活で、なまけものの生活をしているまきおにとって、いい加減疲労がたまってもよさそうなものだった。かみさんは眠たそうな顔をしながら運転かわろっか?っていうけど、強引にここまで連れて来た身としては、それは出来ないことだった。
サウスポイントに来た道をひたすら北方に向かって走り始めた。風になびかれた木のところもブーンブーンとまわる風車の前もそして、なによりだだっ広い草原にたむろしている赤茶色の斑点をもった牛達の群れを通り越して元の国道にたどり着いた。
いま、考えても何ともいえない別世界だった気がする。日はやや傾きかけていた。車は、国道をひたすら走った。たまに雨とかが降ってきた。そのたびにワイパーを稼動させるんだけど、いまひとつフロントガラスいやいやウインドウシィールドが奇麗にならなくて、仕方なく車を路肩に止めて窓を拭いたりした。
さて夕食のことを書こうと思う。1日目は某カフェで食べた野菜炒めに閉口し、日本食は信用できないということで中国料理を食べることにした。おいおいやっぱりおれはAsian
Nationsだよ。普段の生活だとさ、ラーメンとかは食べ過ぎると塩分が多いとか栄養がどうだとかで月に1回くらいにしておくけど、そんなことは頭になかった。そういうわけで、早速中華料理のお店に向かった。
お店のお兄さんは中国人みたいだった。言葉数が少ないような気がする。さっそくラーメンとやっぱり野菜炒めを頼んだ。食べてから思うんだけど、なんか日本のやつと違うんだよね。麺が白っぽくて、おつゆに片栗粉が入っている感じ。もちろん満足はするんだけど……。野菜炒めは、昨日某Aカフェで食べたものよりは良いものだった。ただ大きなキュウリを煮たやつが入っていたことに変わりなかった。その辺が辛いところだろう。
ホテルに帰る。そういえば、言うのを忘れていたけど、明日から立て続けにオプショナルツアーを申し込んでいる。ツアーの内容に関しては,おいおい話してみるとして、そういうのって日本からインターネットを使って予約が出来るわけよ。すごい時代だよね。しかも割安だったりして。だけどそういうやつって、ハワイに入国してから、連絡してね、所謂Reconfirmである。かみさんはホテルの公衆電話でそれをしようとしていたから、まきおはフロントの人に頼んでみよう。結局フロントの人は親切にやってくれた(なんでも公衆電話以外は市内電話タダらいいじゃん)。
英語会話に関してはかみさんのほうが上だから、そういう種類の会話はやってもらうわけだが何を遠慮しているのか、3つのうちの1つだけしかやって貰わなかった。もう!ということで結局まきおが公衆電話を使ってレコンファームをすることとなった。そう、かつてまきおは欧州旅行時にロクスポ話せないくせにホテルのドイツ人に電話して予約をもらった経験があったのだ。
キャヌアイレコンファーム?結局インターネットで予約していたことが幸いして向こうから名前とか言ってくれて、ホテルに迎えに来てくれるとのことであった。よかった。よかった。
さて、明日のイヴェントはスノーケリングである。 |
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