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地球の深部は高温で高圧状態にあるという。マグマが地下深部から一気に地上に上がり,常温常圧下に曝され急速に冷却されると、岩石の中にガラス質物質も形成される。これと関係ないかもしれないけど、溶岩の表面はツヤがあるみたいにピカピカしている。
とりあえず溶岩と道路の境界で写真をパシャリ。しばらく、溶岩を歩いた。一面に広がるのは黒々とした溶岩と青々とした海。なんだか、自分が地球誕生の時に来ているような錯覚を覚えた。また、ここら辺は昔道路があって、人が住んでいたところもあるらしい。そう考えると自然の脅威といったものも感じた。
少し先まで行くとまた警告を示す標識がある。なんでも海側にはあまり行かないほうがいいらしい。溶岩の薄いところを踏み抜いて死亡した人がいたみたいだ。そんな危険性のあるところでも、「立入禁止」の標識を設けないところが、なんともアメリカチックな気がした。(責任は自分でとれよ)って言われている感じ。
少し前のガイドブックとかによると、この辺りから溶岩が海に流れ込むときに生ずる水蒸気とかが見えるらしいのだが、どうも、火山活動は沈静の方向に向かっているらしい。
「去年来れば、もっとよく見えたのに」という地元の人の言葉には少し悔しい思いをしたなと感じた。足元をみると溶岩の間から小さな草が芽を出していた。地球の創生を感じるひと時だった。
車のあるところまで戻る。そこにはちょっとした小屋があって、溶岩がどこをどう流れたのかとか、埋まってしまったVisiter
Centerや民家のことなどが書かれてあった。そばにトイレがあるとの表示。ちょうどそのときにモヨおしてきたのでちょっくら入ろうと思った。トイレの建屋はとても頑丈でドアもしっかりしているし、洋式の便座があって、ほう。なかなかいいじゃないかと思って、蓋をあけたら……。そうだよね……、水洗がある分けないよね。洋式のボットン便所を初めて見た瞬間だった。しかも、中の箱はほぼ満載の状態で、おつりがきそう……。
まま、その話はこの辺にしておいて、来た道を戻ることになる。しばらく行くと、Sea
Archと名づけられた、冷え固まった溶岩が橋のようになっているところがある。真っ黒な溶岩を泡立つ白い波、そして何回も言うようだけど青い海とのコントラストがすばらしかった。「感動した!」っていう感じ。邦人の若い夫婦が、どうも夫の両親を連れて見物しているのが目に付いた。
もときた道を一気に駆け上がる。目指すは標高1100mである。なんでそんなに急いだかというと、もう午後の1時を周っていたからだった。ここら辺は食べるところといったら、ヴィジターセンターの向かい側にあるヴォルケーノハウスというところしかない。会社の先輩がかつてハワイ島を訪れたときに、このお店でご飯を食べたと聞いていた。ここでご飯を食べれば共通の話題ができるってもんだ。
さて、ここで、昼ごはんを食べることになるわけだが、この旅行のバックグラウンドとして話しておかなきゃいけないことがある。まきおの口内炎のことである。そもそも、まきおは従来口内炎が出来やすい体質である。かみさんは、「よく噛まないから」とか、「ゆっくり食べないからだ」というが、それも要因のひとつかもしれないが、たぶんその寄与は小さい。それよりも遺伝的な要因が大きいんです。
でも、今回のは遺伝とかじゃなくて、旅行に行く数日前の夕食時に下唇をおもいっきり噛んでしまったためのものでした。口内炎ができ初めてちょうど痛さがピークに達しようとしていました。たから、なんだか、食欲も減退していたといえるかもしれません。しかも、昨日の某カフェの野菜炒めでハワイの食事に関して嫌な感じを持ってしまったまきおにとって、つらいことである。
結局まきおは無難なホットドックを頼むことにした。それでも、食べているときにマスタードが下唇に当たると激痛が走り死にそうな顔をし続けているうちに、かみさんの気分を害してしまったらしい。なにも、こんなところにまできて……といったところだろうか、つらい。
食堂の窓の外からは、先ほどのクレータを見ることが出来る。ずっと観ていても見飽きない風景だ。口内炎に食べ物があたったりして、辛かったけど、なんとかおなかを満たすことはできた。
食事の後は、またキラウエアの火口を少し周った。途中に溶岩が流れてできたという洞窟トンネルがあって、中に入ることにした。サーストン・ラバ・チューブという。数十メートルのトンネルだったけど、溶岩がこれを作ったと思うと不思議な気分になった。この辺りは観光客が多い。さすがアメリカの国立公園だという感じだ。
その次は、ちょとトレイルを歩いてみたいと思った。やはり火口とかを歩いてみないと。それにこの辺を歩くと、珍しい石達を見ることが出来るという事前情報もあった。
ハワイの火山によって出来た岩石は「玄武岩」という岩石に分類される。この中に多く含まれる鉱物は「カンラン石」といって英語名で「オリビン」という(宝石のペリドットと同じだと思う)。オリーブ油のような綺麗な薄緑色をしているためにつけられたようなものだ。通常はほとんどは小さく、ルーペとか顕微鏡で見たことしかなかった。しかし、火山噴火物中に大きな単結晶のオリビンが転がっているとの話を聞いた。これは行くしかない。
ということで、ガイドブックに従って「デバステーショントレイル」にいった。ほんの30-40分くらいのハイクである。しばらく森の中を歩くと、目の前に大きな丘が見えてくる。あの丘がプウ・プアイで、表面に細かい灰が堆積しているため、とても滑らかな斜面に見える。
この付近にある火口から600m近く炎が上がったというから驚きだ。ふと見下ろすと、地面は細かい礫で敷き詰められている。さっそくしゃがんで目当ての石を探していると、ところどころに緑に光る石が見つかる。天然でこんなに大きな結晶を見たのは今が初めてだった。とりあえず夢中で形のいいものを探した。
途中通りがかった旅行者から「なにを落としたの?」などと聞かれたが、「No
problem!」。ハワイ島に来て最も面白いことのひとつを楽しませてもらった。でも、溶岩が急速に冷却されるのに、どうしてこんなに大きな結晶が出来るのかはよくわからないまま次に進むことになる。
とりあえず,「原則暗くなってからの運転禁止」という自分で決めたルールに従うために,そろそろここから立ち去らなければならない。コナにずっと宿泊するのでなく、この辺りにも泊まってもっとゆっくり出来ればよかったと、帰ってきた今になっても思うことである。 |
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