HAWAII123.com  トップページ ●旅行記トップ


まっきょんさんのハワイ島旅行記
     
 
その3:キラウエア火山への道

 ハワイの火山はホットスポットと呼ばれている。たとえば、日本の火山がプレート同士の擦りあわせで生じているものだとすると、ハワイ島は、すっぽりとマントルに向かって生じた穴の上にある。しかもその穴は相当深く、核(地底2900km)付近から上昇してくるマグマもある可能性がある。地球内部を興味の対象とする者にとっては、とても重要な地位を占める。そんな地球上の「点」であるといえる。

 5時半ごろの目覚ましで目が覚めた。低血圧ぎみの僕はぱっと跳ね起きることが出来ないが、窓の隙間から来る光の具合から、まだ日は昇っていないという印象を受けた。前も話したけど、夜のドライブは避けたいとの思いから、ロングドライブの朝は早めの出発を心がけた。
 朝ごはんは、昨日某カフェからテイクアウトしてきた野菜炒めと機内食の残りのパンと、ひょっとしたらもう腐っているかもしれない日本から持ってきたチマキを食べた。

 今日は火山を見に行く予定となっている日だ。この火山はキラウエアといい、一帯が国立公園として指定されている。ちょうどカメのお尻の辺りにあるものだから、ホテルのあるカイルア・コナからはやや遠い。国道を一気に南に突き抜ける。途中でコーヒー農園、ナッツ農園を通り過ぎた。
 さらに道は南へと続く。右手には海岸線が続いているが、自分が島にいるという意識が無いくらい、大陸じみた場所だ。
 途中、カメさんの左足を回ったところ辺りで初めての給油となる。ガイドブックとかでガソリンの入れ方に関しては、ある程度の知識を持っていたつもりであったが、そのあたりでオドオドしていると、店の女の人が出てきて、こうやるんだよって教えてくれた。
 「すいません」と苦笑いだが、結局どうやるかよくわからんかった(かみさんはわかったらしい)。
 そこはナアレフという町で、ここのパン屋さんは美味しいとガイドブックにあったものだから、ここで昼ごはん用の食料を調達しておこうと思った。そこで、パン屋さんに行ってみると、「うちは9時からだよ」。ちょっと早すぎたんだよね。仕方ない、帰り道で買ってみることにしよう。
 少し雨模様であった。ハワイで雨が降るという感覚を持っていなかった私は、ある種のやっぱり不思議な気持ちになった。

 さて、ナアレフを後にして一路キラウエア火山といきたいところだが、途中に有名な海岸がある。プナルウ黒砂海岸という。ハワイ島では珍しくない風景だけど、海岸線一帯の砂が真っ黒というのは確かに異様な風景だ。しかし、ポロル渓谷の下にも黒砂海岸はあったし、一回見ると慣れてくるもんだ。こんなところに住んでいたら帰って白い砂の海岸が珍しく思えるのだろう。
 いずれにしてもこの砂の黒さは、この島がまだ生まれたばかりの島であることの証ではないか。どのガイドブックをみても掲載されているこの海岸、何がお目当てかって、海から上がってくるカメにあるといっていいだろう。毎日のように上がってくるという記述もあるし、出会えた!という人たちも多いらしい。とくにかみさんは火山よりもカメに会いたいほうだから、一種のメインスポットであった。

 朝8時半の黒砂海岸にはひとっこ一人いない。ただただ黒砂が波に洗われていた。かめは本当にいるのか?海岸線を奥まで歩いてみた。いない。かみさんは駄々をこねて座り込まんとする雰囲気だったが仕方ない。残念だった。
 気を取り直して車に向かった。当然この砂浜の砂もサンプリングだ。ふと見ると、見たことも無い種類の魚が何者かに喰われて、頭と骨だけになって、砂浜に打ち上げられていた。とても人間の仕業とは思えない食われ方であった。

 幹線道路にもどってから、キラウエアへ一気に走る。ここからの道はとにかく、まっすぐ、まっすぐ、まっす――――――――――ぐ、直線だ。さっきの海岸が海抜0mだとして、キラウエアの火口の入口は海抜1100m。これだけの高度さを直線で駆け抜けるのだ。
 国立公園内であることを示す標識を通り越した後も、しばらく車を走らせる。入り口で$10払って、ヴィジターセンターへ入る。ここには、火山の情報が詰まっており、写真や映像によってハワイの火山を紹介してくれた。
 そいで、なんでも映画が上映されるからということでそいつを観にいった。火山だけじゃなく、ハワイの歴史や植物や生き物の話もしてくれた。なんでもハワイには珍しい植物や鳥達が沢山居るらしい。僕は、なんでポリネシア人がはじめに見つけた島がいまアメリカ領土になっているのかとか知らないことが多いから、少しはそういったことを調べてみようと思った。でも、ここには書かないよ。
 国立公園の中には沢山のクレータが見られるが、一番大きなやつがハレマウマウ火口で、その周囲のカルデラを車で一周できるようになっている。小さな火口をクレータ、大きくなるとカルデラと呼んでいるけどその成因はほとんど変わらないといっていい。大きさだけの話です。
 それにしてもこの火口は大きい。所々で蒸気が上がっている。車を降りてその蒸気まで近づいてみることにした。なんだか硫黄っぽい臭いもする。周囲には「健康を害する恐れがあります」との標識はあるが決して、入るなというのはない。そういうことで興味本位でどんどん奥に進む。風とかの関係でたまに蒸気が襲いかかってくると、ひどく熱くて叫んでしまった。「あぢぃ!」

 さて、キラウエア火山のメインイベントであるChain of Creaters Road(火口連続道路)に行く。今居る場所はカルデラの周囲でこれでも標高1000mはある。林のなかの一本道をどんどん下っていくと、沢山の噴火口が林の中に埋もれているように点在しているのがわかる。初めのうちは珍しくて、標識のあるごとに停車して写真を撮っていた。
 しかし、これらは「枝葉」だということに気がつき、どんどん道を行くことにした。突然林が途切れ眼前が明るく開ける。一面の溶岩の荒野だ。それ以外は本当になにも無い。ここを越えた辺りから急に勾配がきつくなる。なんでも最大で35%の傾斜らしい。耳がキーんとする。
 火口の周囲では、曇っていた天気が、ある時を境にパッと晴れ一面に青い海と海岸線が広がった。そして、海抜0mまではほんの数分でたどり着いた。ここはCreaters Roadの終点だ。なんで終点かっていうと、1989年の大噴火によって、海岸沿いの道に溶岩が流れ込んで、道の先を覆ってしまったからだ。とりあえず、道路と溶岩の境界線上で写真をパシャリ。
 Ready? Or Not!(行きますか?それとも止める?)って書いてある看板があってProtect yourself from dehydration and heat exhaustion と注意書きがあるけど、その先の溶岩で覆われた道を歩いていくことが出来る。
前に戻る   次に進む