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アヒ(マグロ)漁解禁、延縄漁船の操業大幅緩和。ハワイの延縄漁業協会(HLA)の死活問題と注目されてきた、全国海洋漁業局(NMFS)の海ガメと延縄漁の因果関係リポート(EIS)を受けて、連邦地方裁判所のデービッド・エズラ判事は去る3月30日、メカジキ(スウォードフィッシュ)漁に仕掛ける操業以外の延縄漁の操業を翌日付けで解禁とした。同解禁で日本人が食卓で好むマグロ(アヒ)の漁獲操業は全面的に可能となり、ハワイの延縄漁業協会に所属する約110隻の延縄漁船のうち、約3分の2の70隻は週明けの4月1日から出漁した。 エズラ判事は、絶滅に瀕する海ガメが延縄漁の仕掛けにかかり、漁師はその海ガメを殺していると、米本土の海ガメ保存会から延縄漁の禁止令の提訴を一年前に受けた。そこで、同判事は延縄漁と海ガメの因果関係を全国海洋漁業局のハワイ支部に要求した。6ヶ月後に因果関係に関する報告書は提出され、延縄漁に海ガメがかかる時もあるが禁止する程のものではないとしていたため、同判事は調査が充分でないとしてやり直しを命じた。 その間の暫定措置としてハワイ近海の400平方マイルの海洋での禁漁を宣言し、再度の因果関係リポートを4月1日までに提出するよう指令した。また3月15日から5月14日までのハワイの南太平洋における操業も全面禁止するとも発令し、全面操業禁止を言い渡された延縄漁船は3月14日を最後に操業を中止し、相次いでホノルル港に寄港していた。 エズラ判事は3月27日に因果関係リポートを受け、30日に判断を示した。メカジキ漁の大型延縄漁船の操業は禁止、アヒ漁は解禁されるが次の要項が含まれる。 ◆比較的浅い海洋に仕掛けるメカジキ漁の禁止は継続する。アヒ漁の仕掛け(最低328フィート=100メートル=以上)は全面的に解禁する。 ◆禁漁海域はハワイの南、北緯15度から赤道北1度までの西径145度から180度まで。期間は4月〜5月の2か月。 ◆全国海洋漁業局はアヒ漁船の船長及び乗組員に、海ガメの棲息と仕掛けにかかった時の取扱い方を指導する。 ◆アヒ漁船には必ず全国海洋漁業局のオブザーバー1人を同乗させる。同オブザーバーは海ガメの取扱いを熟知している。 ◆あらゆるケースで海ガメの安全を優先すること 等となっている。 新しい判断でアヒ漁の延縄漁船は出漁できるが、より高く売れるメカジキ漁専用の大型延縄漁船はハワイの港からは出漁できなくなった。この判断(法廷令)はハワイの延縄漁船にだけ適用されるもので外国または米本土の漁船には適用されない。 4月から5月にかけては禁漁海域にマグロやメカジキが集まってくるという。特に北緯13度〜14度の海域は最高の漁場だといわれている。大型延縄漁船はハワイ港を追われて米本土港に移り、その港を母港としてハワイ漁船には禁漁となった海域で外国船同様にメカジキの操業ができるという。同海域には日本、韓国、台湾の延縄漁船が出漁している。 ハワイの大型延縄漁船も米本土に母港を代えればハワイでの操業は可能となる。ハワイの延縄漁船のみに該当する法令で、海ガメ保護のエズラ判事の法廷令は適用されない。こんな状態で海ガメの保護は本当に効果をあげるのだろうかと、延縄漁業協会のショーン・マーチン会長は首をかしげている。 |
協力:イースト・ウェスト・ジャーナル ![]() |
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