プロテア
PROTEA
高級リゾートホテルのロビーには、必ず大きな花瓶がある。そして花瓶から溢れるほどに、色鮮やかな花々が生けてある。原色が眩しい花の塊はロビーのオブジェのようでもあり、青い海や空、木々の緑に加えて、ハワイらしさを演出するのに大きな貢献を果たしている。花瓶の中にあるのは、アンセリウム、バード・オブ・パラダイス、ヘリコニア、レッドジンジャー等の花だ。どれも存在感があり、それだけで主役になれるような花ばかりであるが、その中にひときわ高級感のある花が混ざっていることがある。それがプロテアだ。
プロテアは南アフリカ原産の花で、花の咲く植物の中では最も古いもののひとつと言われ、1億年近く前のゴンドワナ大陸の時代から存在していたそうである。プロテアが初めてハワイにやってきたのは1960年代のことで、マウイ島のハレアカラ山麓の町、クラに研究用に持ち込まれたという。クラの気候と土壌がプロテア栽培に適していて、今ではプロテアを専門に栽培する農園がいくつもあり、マウイの重要な特産物となっている。
クラの町を歩いていると、あちこちの民家の庭先にプロテアが咲いている。リゾートホテルでは華やかな雰囲気を醸し出しているが、クラの町ではすっかり周囲の風景に溶け込んでいるようだ。流れ流れてマウイにやってきたプロテアだが、今ではすっかりマウイの地が気に入っているに違いない。
(Kula, Maui)