マナゴホテル
MANAGO HOTEL
ワイキキビーチにロイヤルハワイアンホテルがオープンしたのは1927年のことだ。そのさらに10年前の1917年、ハワイ島のキャプテンクックに小さなホテルがオープンした。久留米からの移民、マナゴ夫妻が創業したマナゴホテルである。
ハワイ島がリゾートとは縁がなかった時代、この小さな町の小さなホテルは、ホノルルやヒロなどからやってくるビジネスマンを相手に営業していた。余計なものが一切ない客室は至ってシンプルだが、快適に眠るには十分であった。
それから85年、客室数が増え、オーナーが創業者の孫になった今も、マナゴホテルは当時と変わらぬまま営業している。部屋にはテレビも電話もないが、1泊50ドル以下という料金は極めてリーズナブルだ。日本人が始めたホテルらしく、ジャパニーズルームという畳に布団の部屋もある。こじんまりとしたフロントには創業者夫妻の写真が飾られ、アットホームな雰囲気だ。レストランと呼ぶよりも食堂という名がふさわしいダイニングには、名物のポークチョップやアクレ(アジの仲間)を求めて多くのローカルが集まってくる。
ホテル内には至るところに当時の風情が残っており、フロントやラウンジの壁、柱、引き戸などが歴史を語っているようだ。そして、夜になると灯されるネオンが、いっそう郷愁を誘うのであった。
(Captain Cook, Big Island)