ロイヤルハワイアン
ROYAL HAWAIIAN
ロイヤルハワイアンホテルがオープンしたのは1927年のことだ。1920年代のアメリカ本土では太平洋への関心が高まり、旅行の目的地としてハワイがクローズアップされるようになっていた。当時の旅行は船旅で、一部の裕福な人たちが豪華客船で各地を訪れるというものであった。
ワイキキ界隈は現在とは全く異なる姿で、ロイヤルハワイアンがオープンした土地は、ハワイ王族が遊んだりくつろいだりする場であったところだ。ホテルの前にはロイヤルハワイアン・ココナッツグローブと呼ばれる見事な庭園が広がり、樹齢200年以上のパームツリーが並んでいた。
「ワイキキのファーストレディ」と称されるモアナホテルはすでに開業していたが、本格的なリゾートホテルとしての設備とサービスを提供したのはロイヤルハワイアンが初めてで、旅行業界に大きな衝撃を与えたという。ダイアモンドヘッドや青い海のパノラミックビューを望むビーチプロムナードで、水着を着たままランチを楽しむことが出来たのは、当時としては画期的なことであった。また部屋からビーチに向かう人専用の水着のままで乗れるエレベーターも、エレベーター自体が珍しかったハワイでは注目を集めた。他にも、クリケットやテニスコート、ゴルフコース(ワイアラエCC)を備え、ワイキキ沖でのフィッシングやウクレレレッスンの手配も行った。
ホテルの滞在客は紳士・淑女で、地元の名士との社交の場としても大きな役割を果たしていた。ボールルームで開かれるパーティーにはドレスアップした多くの人々が集まり、華やいだ雰囲気が漂っていた。ディナーの後のコーヒーやミントのサービスは和服姿の若い日本人女性によって行われ、オリエンタルな雰囲気も演出されていた。
優れたサービスや設備と並んでこのホテルのプレステージを高めたのは、コーラルピンクの外観と青い海や自然の緑との調和による美しさだ。当時の10大クルーズ客船の乗客へのアンケート調査によれば、“世界中で最も美しいホテル”の栄誉に輝いたのが、このロイヤルハワイアンであったということだ。
オープンから4分の3世紀が経過した今日、なお魅力的で訪れる人々に快適な滞在を提供している。「ピンクパレス」と称されるのに相応しいホテルである。
(Waikiki, Oahu)